第63回火災科学セミナーの開催について
第63回火災科学セミナーの開催について
主 催:(公社)日本火災学会
後 援:全国消防長会
横浜市消防局
京都市消防局
今年の1月1日に石川県の志賀町で最大震度7を記録した能登半島地震の発生によって、県内及び周辺各地に甚大な被害をもたらし、その後も日本各地で地震が頻発するなど、改めて震災への備えについて意識が高まっているところです。
そこで、発生から100年を経過した関東大震災の教訓を再認識することで、今後30年以内に70%の確率で発生すると予想されている首都直下地震に備え、震災の教訓を未来へ引き継いで行く必要があります。
また、36人が被害を受けた京都アニメーション放火火災から5年が経過し、火災発生時における避難行動について様々な場面を想定して、命を守るためにどうすべきか見識を深めておくことが重要です。
このような状況を踏まえ、日本火災学会では、横浜市と京都市において下記のとおり「火災科学セミナー」を開催することとなりました。つきましては、会員の皆様はもとより、消防関係者、一般の方々も多数ご参加いただきますよう、ご案内申し上げます。
記
◆横浜会場:日時 2024年11月19日(火) 13時00分から17時00分
場所 横浜市開港記念会館 講堂
(神奈川県横浜市中区本町1-6)
①みなとみらい線「日本大通り駅」1番出口から徒歩約1分
②JR京浜東北線・根岸線「関内駅」南口から徒歩約10分
③市営地下鉄線「関内駅」1番出口から徒歩約10分
[主題] 関東大震災から学ぶ震災への備え、そして、未来への教訓
1 関東大震災と横浜消防の対応 ―歴史学の視点から―
横浜都市発展記念館(主任調査研究員)吉田 律人 氏
2 輪島市朝市通りの火災からみる地震火災の延焼状況について
国土技術政策総合研究所 都市研究部(都市防災研究室長) 岩見 達也 氏
3 近年の大規模災害からみるこれからの地震火災対策
東京大学先端科学技術研究センター(教授) 廣井 悠 氏
◆京都会場:日時 2024年12月11日(水) 13時00分から17時00分
場所 立命館大学朱雀キャンパス 5階大講堂
(京都府京都市中京区西ノ京朱雀町1)
①JR・地下鉄「二条駅」から徒歩約2分
②阪急京都線「大宮駅」から徒歩約10分
[主題] 「避難」について考える~火災から大切な命を守るために~
1 京都アニメーション火災の避難行動を読み解く
富山大学 学術研究部 教育学系(教授) 秋月 有紀 氏
2 火災から命を守る避難の指針について
京都市消防局(予防部長) 藤生 卓樹 氏
3 火災危険をイメージして避難を考える ~避難訓練の調査を通じて~
東京理科大学大学院 創域理工学研究科 国際火災科学専攻(教授)水野 雅之 氏
4 JAL機衝突事故18分の脱出劇 ~「奇跡」ではない成功の要因~
筑波大学・神田外語大学 客員教授 警察大学校講師 Global Manner Springs代表
江上 いずみ 氏
参加料:会員、賛助会員(当該団体に勤務する職員を含む。)、後援団体職員及び消防職員3,000円,一般(非会員)5,000円
申込方法:郵便払込による参加料の納入をもって申込受付とします。(郵便振込「払込取扱票」のご利用をお願いします。)
振替口座番号 00180-4-58454 (公社)日本火災学会
払込取扱票の通信欄に参加会場名,勤務先名(複数参加の場合,参加者名)を記入してください。また,払込人住所氏名欄には参加者氏名(複数参加の場合は,代表者名),連絡先住所,電話番号を記入してください。到着受付後,受講票をお送りします。(領収書は,当日会場でお渡しします。)
※口座振替(銀行)を希望される場合は,下記申込先へメールにてお知らせください。
申込先:〒113-0032 東京都文京区弥生2-4-16 学会センタービル
(公社)日本火災学会 Tel:03-3813-8308 Fax:03-5689-3577 E-mail:kasai50@sepia.ocn.ne.jp
詳細はこちらをご覧下さい → Seminar63
火災 390号 (Vol. 74, No. 3, 2024) 2024年6月
近年の林野火災における乾燥・強風条件の再現計算と将来予測/峠嘉哉(2)
林野火災における次世代空中消火システムの開発/江尻真斗,松本智憲,林富徳(8)
環境適合性の高い石けん系消火剤の開発と普及に向けた取り組み/田北美紀,栁川知樹,川原貴佳(14)
熱帯泥炭地火災の現状とその対策~インドネシア国リアウ州TL村の事例~/甲山治,亀岡大真(20)
<能登半島地震調査報告>
令和6年能登半島地震後の輪島市大規模火災の焼け止まり状況と消防活動/鈴木恵子(30)
令和6年能登半島地震における輪島市大規模火災の延焼動態/篠原雅彦(33)
令和6年能登半島地震において石川県輪島市河井町で発生した大規模火災の市街地火災延焼シミュレーション/高梨健一,細川直史(37)
令和6年能登半島地震時に発生した火災現象に関する調査研究/廣井悠(42)
消防車両紹介:工作車(強力吸引車)/東京消防庁(53)
火災・災害ニュース(55)
国際会議情報(58)
会報(59)
新しいホームページのアドレス公開
日本火災学会は6月1日から新しいホームページに移行します。
ブックマークは下記アドレスに変更願います。(2つは表記が違うだけで同じものです)
https://jafse.smoosy.atlas.jp/ja
2024年5月31日
【投稿期限:6/30】第14回アジア・オセアニア火災安全科学技術シンポジウムの開催案内
第14回アジア・オセアニア火災安全科学技術シンポジウムが下記の通りに開催されます。
皆様の積極的なご参加をお待ちします。
https://www.aosfst2024.com/
開催日:10月21~25日
場所:韓国 テグ市
Hotel Susung
106-7 Yonghak-ro, Suseong-gu, Daegu
http://www.hotelsusung.co.kr/en/main/index.php
論文募集スケジュールは次の通りです。奮って投稿をよろしくお願いします。
6月30日 査読用論文原稿投稿
7月31日 査読結果通知
8月15日 修正原稿提出
8月31日 最終採否結果の通知
9月20日 最終版提出
対象分野
・材料の燃焼性・毒性、および関連試験方法
・燃え拡がり
・区画火災
・火災動力学
・消火
・火災時の構造挙動
・林野火災等の大規模屋外火災
・避難と人間行動
・火災リスク分析と火災安全設計
・その他、新たな分野
令和6年度定時総会開催のお知らせ
令和6年度定時総会案内および総会資料は下記をご確認ください。
総会は5月23日(木)15時からオンラインにて開催いたします。
20240510_2024年度定時総会案内
20240510_2024年度定時総会資料
火災 389号 (Vol. 74, No. 2, 2024) 2024年4月
近年の自動車の延焼性に関わる一考察/田村陽介(2)
科学警察研究所で実施した自動車燃焼実験~車両火災時における延焼可能性~/岡本勝弘(7)
FDSによる開放性の高い自走式駐車場の火災シミュレーション/山田常圭(13)
泡消火設備の現状と課題/遠藤辰基(17)
14th IAFSS Symposium(第14回国際火災安全科学シンポジウム)参加報告/丹野碧(27)
講演討論会「駐車場の消火設備における現状と課題」概要報告/学術委員会(31)
2023年度学術委員会と専門委員会の活動報告/学術委員会(36)
私の博士論文:ひずみ速度を考慮した高強度鋼梁の耐火性能評価/木村慧(39)
火災の仕事に就いて:防災業界に就職して/茂木眞智(44)
消防車両紹介:人員輸送車(災害対応多目的車)/東京消防庁(50)
火災・災害ニュース(52)
国際会議情報(55)
日本火災学会論文集 第74巻 第1号の概要(56)
日本火災学会論文集の電子ジャーナル化及びオープンアクセス化,冊子体の廃止について(56)
2024年度日本火災学会研究発表会プログラム(57)
鹿児島県太陽光発電所内電力貯蔵施設消防職員受傷の教訓
鹿児島県太陽光発電所内電力貯蔵施設消防職員受傷の教訓
令和6年3月27日鹿児島県の太陽光発電所内電力貯蔵施設から発煙し、消防職員4名が受傷した。発煙から発火、爆発の経緯は地元テレビ局取材画像に残されている。防火衣と呼吸器を装着した6名と通常の活動服の4名が施設ドア付近で活動している様子が記録されている。ドアが開くと濃い白煙が周囲を覆い、消防職員の姿はわからなくなる。その後、発火し、爆発が複数回起きている。その後、防火衣とボンベを背負い、ヘルメットと面体が脱落した消防職員1名が救助されている1)。
これまでにも中国北京市の電力貯蔵設備火災に対応した消防職員2名が殉職2)、米国アリゾナ州の電力貯蔵設備発煙に対応中の消防職員4名が受傷している3)。電力貯蔵設備の発煙や火災では、異常が発生してからしばらくして爆発が起きている。消防職員が通報を受けて、現地に到着、状況を調査中に爆発となっている。そのため爆風や火炎により受傷する結果となっている。
この教訓から電力貯蔵設備の安全設備が充実するまでの期間、消防職員は電力貯蔵設備内で爆発が起きる前提で活動を行う必要がある。立ち入り制限区域を設け、消防職員が立ち入る場合には、現場指揮所で統制を行い、防火衣と呼吸器を装着させ、爆発発生時には迅速に避難支援できるよう同様装備を装着した職員を複数待機させる必要がある4)。
リチウムイオン電池の火災を消火するためには、電池を水没させる必要がある。太陽光発電所の電力貯蔵の場合、現実的には消火不可能である。周囲への延焼を防止しながら今回のように燃え尽きさせる制御焼却となる。もし、未反応のリチウムイオン電池が残存した場合には、再燃の可能性がある。再燃は複数回起きることがあり、再燃までに一週間程度の事例もあるため、警戒を怠ってはならない。
発災した施設に関する資料「平成26年度補正予算再生可能エネルギー接続保留緊急対応補助金(再生可能エネルギー発電事業者のための蓄電システム導入支援事業)事 業 報 告5)」を見ると類似設備が6件存在する。
管内に類似設備が立地する消防は、この教訓を活かしてもらいたい。
日本火災学会会長 鶴田 俊
令和6年3月30日
1)https://www.mbc.co.jp/news/article/2024032800070600.html
2)https://www.ctif.org/sites/default/files/2021-05/Accidental%20analysis%20%281%29.pdf
4)https://www.sandia.gov/app/uploads/sites/163/2023/06/2023ESSRF_Session4.2_DeCrane_Sean.pdf
5)https://sii.or.jp/re_energy26r/file/jigyouhoukoku.pdf
上記と同じものを下記PDFにしました。
2024年3月31日投稿
火災 388号 (Vol. 74, No. 1, 2024) 2024年2月
電動可搬消防ポンププロトタイプの開発/高橋耕一郎(2)
再処理工場の火災・爆発に関する安全対策/山田立哉(7)
エネルギーシフトと泡消火技術高度化への取り組み/高嶋武士(13)
消火器リサイクルシステムによる環境負荷低減の取り組み/飯塚昌史(19)
木造建築の推進と火災安全/長岡勉(23)
エレベーター利用避難に関する国内外の事例の調査研究~海外の避難用エレベーターに係るアンケート調査の分析~/榎本満帆(33)
中国における超高層ビルの避難用エレベータと中間避難階/劉雨萌,鍵屋浩司(38)
防災コラム(その20)地震時の断水に備えて防火水槽の整備は急務/関澤愛(45)
火災の仕事に就いて:建築を目指したきっかけと建築設計という立場での火災安全との関わり/中里隆大(47)
消防車両紹介:救出救助車(全地形活動車)/東京消防庁(53)
火災・災害ニュース(55)
国際会議情報(58)
掲示板(59)
第62回火災科学セミナー開催結果(60)
賛助会員名簿(64)
能登半島地震における火災調査報告会 開催結果
日本火災学会主催、参加登録者335名(会員174名、賛助会員9名、非会員152名)で、2024年2月15日午前10時半~12時半にオンラインで開催した。日本火災学会鶴田俊会長の開会あいさつのあと、各調査主体から下記の調査報告をいただいた。各報告の概要については、それぞれのリンク先をご参照してください。
報告後、 1)発生した現象に関して、耐火造で囲まれた場所への延焼や少し道幅のある道路を越えた延焼について飛び火・火の粉や建物損壊等によるLPガスボンベからの漏洩、LPガスボンベからの爆発的な燃焼等について検討する必要性、2)調査の問題点・課題について、個人情報保護の観点から出火原因についての情報を得にくいこと、火災直後の焼け跡の瓦礫等の状況についてのドローンによる解像度の高い記録の重要性、ヘリコプターから撮影した燃焼中の映像の研究への活用、出火現場の微地形による火災性状への影響を検討すること、電柱の傾き等によってわかるそれぞれの場所での地震動と火災の関係を検討すること、3)地震火災・津波火災の対策について、今回のような激震で倒壊が激しい中での大規模火災とならなかった地震火災の経過をよく調査したり、現在の都市内で使われている様々な形態で貯蔵・活用されている各種エネルギーが激震によって損傷されたり相互の影響などの経緯により火災となること精査して出火防止対策につなげることの必要性についてのコメントがあった。
——————————-
能登半島地震における地震火災の発生状況(東京大学・地震火災専門委員会)
廣井 悠 東京大学先端科学技術研究センター
——————————-
能登半島地震による建物等の火災被害調査報告(国総研・建研)
鈴木 雄太 国立研究開発法人建築研究所防火研究グループ
——————————-
能登半島地震後の輪島市大規模火災調査について
鈴木 恵子 総務省消防庁消防研究センター大規模火災研究室
篠原 雅彦 総務省消防庁消防研究センター大規模火災研究室
高梨 健一 総務省消防庁消防研究センター地震等災害研究室
——————————-
能登半島地震に伴う地震火災・津波火災
西野 智研 京都大学防災研究所社会防災研究部門
——————————-
ドローンを活用した火災現場調査について
ピニェイロ アベウ タイチ コンノ 東京大学大学院工学系研究科
——————————-
能登半島地震における火災調査報告会 開催のお知らせ
2024年1月1日に能登半島北部で発生した地震・津波により多数の家屋被害がもたらされたと同時に、これらの現象を起因とする火災も多数発生し、火災による被害は甚大なものとなりました。日本火災学会地震火災専門委員会及び各研究機関では、これらの火災についての調査が行われてきているところですが、本報告会では各調査主体からの現在までの調査結果を報告いただくとともに、今後の調査・研究及び対策のあり方について議論します。皆様のご参加をお待ち申し上げます。
主催:日本火災学会
日時:2024年2月15日(木)午前10時~12時
会場:オンライン(Teamsウェビナー)
(リンクは、下記のPeatixにお申込みによりお知らせします。)
詳細・申込はPeatixイベントページを参照願います。